お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「……」
……困らせるだろうか。
また、恋愛の事で悩ませるだろうか。
たぶん、悩ませるだろうな……だけど三石。俺のわがまなな願いを、一つだけ聞いてほしい。
「三石が好きだ。お前を守りたい。
三石が兄貴を好きなのは知ってる。それでもいい。それでもいいから――
俺に三石を守らせて」
「ッ!」
その時、更に驚いた三石は固まって……まるで石像みたいに微動だにしなかった。
だけど、しばらくして俺の言葉を理解したのか……口をへの字に曲げた後、ギュッと目を瞑る。
そんな三石を見て、俺は「ごめんな」と。やっぱり困らせてしまった事に謝りながら――今度こそ流れた三石の涙を、指でそっと受け取った。
*勇運*end