お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「お、おかげ様で元気です。あの時は、お世話になりました。助けてくださり、ありがとうございました」



ペコリと頭を下げる。そんな私を見て、柴さんは口角をわずかに上げた。


入院中、警察の人が何度か来た。

だけど来たのは警察「署」の人で、柴さんと守人さんが来た事はない。だから、こうしてお礼を言えるのが嬉しかった。

学校の登下校の時タイミングが悪かったのか、二人を見かけなかったから……。



「冬音さんがご無事で何よりです。本当は、事が起きる前に予防しておくことがベストだったのに……申し訳ありませんでした」

「い、いえ! そんなことは絶対ないです……っ!」



両手をブンブンと振ると、顔を下げていた柴さんは滑らかに起き上がった。

「それで」と、玄関に並ぶ靴に目をやる。その視線が、ここにいないお母さんを探していると、何となく分かった。
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