愛毒が溶けたら

「……ふふ」

「冬音ちゃん?」

「いえっ」



大きな大人の人で、お巡りさんで。こんなにカッコいい人が、お化け屋敷が苦手だったら……ちょっと可愛い。

お化けを見て「わー!」と驚く守人さんを想像して、思わず口元がにやけた。



「お化け屋敷はガラガラだね。すぐ入れそうだけど……」

「もちろん、行きますよ!」



守人さんの手を引っ張って、スタッフさんに「二人です」と申告する。

「お気をつけて~」と言われて、重たい扉がグググと開かれた。中は――真っ暗。



「これは、想像以上だね」

「雰囲気がてんこもりですね……っ」



だけど、本当に真っ暗というわけではない。ちゃんと足元に灯りが灯っていて、通路を案内してくれている。

ひゅ~ドロドロ……なんて音も流れて、迫力満点だ。
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