お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「何が出るんでしょうね」

「ウキウキだね、冬音ちゃん」

「ふふっ」



ウキウキなのは、お化けが出た時に守人さんがどんな反応をするか楽しみにしてるんです――と、心の中で静かにほくそ笑んだ私。

そんな私の耳に、ヒタ、と。何やら足音が近づいてきた。


ヒタ、ヒタ……



「お、来ましたよ。守人さん!」

「真っ暗だから、どこから来てるのか全然わからないね」



ギュッと、繋いだ手に力がこもるのが分かる。守人さん、やっぱり怖いんだ。

「えい」と、私は守人さんの手を握り返す。だけど、


その時だった。



「みーつけたぁ~」

「――っ!」



背後から、私の肩に軽く乗る手。

その手の感覚を覚えた瞬間――ゾワリと全身の鳥肌が立つと同時に、脳内にある記憶が蘇る。

それは……
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