愛毒が溶けたら

「おまわりさん」

「……ん、?」



守人さんは、夏海から距離をとろうと、少しずつ後退する。

だけど、ついに夏海が壁際に追い詰めてしまって、守人さんは逃げ場なしとなる。


これは……マズイんじゃ?


と焦ったけど――



「おまわりさん、にーちゃんを助けてくれてありがとう! ねーちゃんを助けてくれて、本当にありがとう!」

「え……」

「僕、将来おまわりさんになる! おまわりさんみたいな、かっこいいケーサツになる‼」

「ッ!」



夏海の笑顔を見て、守人さんは固まってしまう。

そんな二人を見て勇運くんは「おい夏海」と。遠くにいる夏海を、不満げに見た。



「お前、俺みたいなコーコーセーになるんじゃなかったのかよ」

「変わった! 僕はおまわりさんになるんだ!」

「切り替えはや。エグ」
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