お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

夏海は、守人さんの後ろに隠れて勇運くんに言い返していた。その様子を、棒立ちになって守人さんは見ている。

私はてっきり夏海のせいで守人さんが「固まってる」と思っていた。

だけど……



ふわり、と。



守人さんが膝を曲げ、夏海と視線を合わせた。



「おまわりさん……?」

「……」



いきなりのことで、今度は夏海が固まっていた。大きな守人さんが、いきなり同じ目線になって驚いたらしい。

そんな夏海の目を、じっと見る守人さん。

その瞳の奥には……在りし日の自分の姿が写っていて……



――守人



小さな頃の守人さんを見つめる、その人。

優しい手つきで、守人さんの頭を何度も何度も撫でている。



「――父さん」



その時、守人さんは思い出す。

過去に、自分の生き方を褒めてくれた人物のことを――


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