愛毒が溶けたら
「でも私……前の恋愛で、嫌な思い出ばかり増えて」

「うんうん」

「もう恋なんてしたくないって……そう思ってたの」


話しながら、小さくなる私。遠回しだけど、成希の事を口にする事が出来た。

だけど、その反動で気持ち悪くなって……。思わず、片手で口を覆う。


「どこぞのヒットソングみたいなこと言ってるけど……って、大丈夫? なんか顔、青くない?」

「……う、大丈夫」


じゃない――自分の事だから、よく分かる。

あまり朝食を食べなかったのに、何かが込み上げてくる感覚の連続。吐き気が止まらない……。


「保健室に行こ、歩ける?」

「うぅん……」


力なく机に突っ伏し、ようやく取り出したハンカチを口元にあてる。

もしも今、動いたら……絶対に出ちゃう。

それだけは阻止しないと……!
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