お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
三石 夏海(みついし なつみ)。
私の弟で、保育園に通う五才の男の子。


今が年長で、来年は小学生――なんだけど、まだまだ手のかかるお年頃。

お母さんが「男の子ってスゴイ……」って、魂が抜けた顔で呟いてるのを、何度となく聞いた事がある。


だから、これ以上お母さんには心配かけられない。心労とか過労で、倒れちゃいそうなんだもん。


『あ、そうだ。この前の警察の方から、電話があったのよ』

「お巡りさんから?」


お母さんに?
何の用で?

聞くと、どうやら私が署名するべき欄の一つが、空白だったらしい。そのため、私本人に、交番まで来てほしい、とのことだった。


『急ぎではないって言われてたから、お母さんが休みの日に一緒に行こうね』

「い、いくいく! 今日、私一人で行ってくる!」


食い気味で「行く」と言った私に、お母さんは「へ?」と素っ頓狂な声を出す。
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