たゆたう、三角関係
「今は無理。寝てた。2時からならいいけど、来んの?来るんだったら何か買ってきて、食いもん、はい、はーい、はーい」

だるそうに電話を切ると「晴人」と言った。

「え、晴人?」
「来るんだって、この家に。やべえ、1時過ぎてんじゃん」

目にかかりそうな髪を手でわしゃわしゃと掻きながら彼は言う。私は上体を起こすとベッドが少し沈んだ。

「帰るね、私」
「ごめん、ごめんね」
「ううん、大丈夫」

バタバタと本代を手渡し、帰る支度をする。
藤くんは眠そうにボーッとした表情で私を見る。お互い靴を脱いでいると、少し藤くんの方が身長高いことに気付く。見下ろされてる感覚が新鮮。

少し彼の手が浮いて私の手首をつかんだ。

キレイな顔をした少年のよう。少年って何歳まで使える言葉なんだろう。

「晴人と戻りたい?」

静かにその少し尖った口が開いた。
少し唇に見惚れながら私は首を横に振る。

「私はもう戻らなくていい」

私を掴む彼の手にギュッと力が入ったのが分かった。そしてフワッと力が抜ける。


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