五年の想いを抱えて
彼は大きく目を見開いて私を見て、静かな涙を流した。

「よかった。生きてる。よかった…」

そのまま近づいてきた晴葵は私を抱きしめた。

失われていた高校時代の晴葵との思い出が次々に頭に流れてきて、背景が透けるほど薄くなってしまった晴葵も思い出した。

今私を抱きしめるはっきりとした晴葵を確かめるように背中に腕を回す。

どれくらいそうしていただろうか。

急に晴葵が私から離れる。
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