五年の想いを抱えて



「俺は高2の春にこの世界に来た。多分、制限時間は1年だったんだ」

「晴葵はその目的を達成できたの?」

私は遠慮がちに聞いた。

「たぶんね」

「そっか、よかった」

晴葵が話そうとしない目的は気になるが、きっとそれを言わないのも晴葵の優しさなんだと信じる。

「ごめんね」

泣きそうな顔で晴葵が言った。

私には謝罪の意味が分からなかった。
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