五年の想いを抱えて
俺が先生からの連絡を待たず、こっちから連絡していたら。

別れ話を切り出すのを応援するだけじゃなくてほかにもできることがあったんじゃないか。

そんなことが頭の中をぐるぐる回る。

でもそれと同時に俺には何もできないということだけが残る。

先生は21歳で俺は16歳。

この溝は埋められない。

この5歳の差だけで、俺は先生を助けられないのだ。

「俺が先生の同級生だったらよかったのに」

小さい声でつぶやいた俺の言葉は誰にも拾われることはなかった。
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