五年の想いを抱えて
一方晴葵はいつも通りだった。

「ああ、慎也。何が」

「何がじゃねえよ。泣かせないんじゃなかったのかよ」

「え、」

晴葵が急にこっちを振り向いて、私はあわてて涙を拭いた。

でも、拭った先から私の意思に反してあふれ出る。

「あれ、玲?どうしたの?」

他の人とおしゃべりしていた美波がいつの間にかそばに来る。

「晴葵。お前のせいで泣いてんだろ。俺、許さないって言ったよな」

「ごめん」
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