花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜
序章




「――香、満ちました」


 私、櫻月(さくらつき)紗梛(さな)は綸子生地に青の橘と菊、梅の模様のくすんだ水色の着物を着て礼をし挨拶をした。

 参加してくださった方に来てくださったお礼を伝えながらお見送りをする。


「ありがとうございました」

「今日の“春雪(しゅんせつ)香”とても良かったわ。さすが、(あや)さんね」

「ありがとうございます、次は梅雨頃に開催する予定なのでその時に招待状を書きますね」

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