花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜




「知ってはいる。だが、書物で見ただけで詳しくは知らないし、違いがあるとは知らなかった」

「そう、ですか?」


 気を使わせてしまったかもしれないと思ったが既に遅い。けど、士貴様が一生懸命聞いてくれるからとても嬉しくて話してしまった。


「あぁ。とても興味深いよ……そうだ、香席に友人を招待したいのだがいいだろうか?」

「士貴様のご友人ですか? もちろんです」

「良かった。では、文を出すよ。招待客はこちらで選んだので確認をしてほしい」


 士貴様はそれだけ言い、聞香が終わると部屋から出て行った。




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