花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜




  ***


 夕餉に並んだのは白米に味噌の煮魚、大根や胡瓜の漬物、吸い物だ。それをお義母様やお義父様、士貴様と食事をした。

 それから食べ終わり、お茶を飲みながら談笑をしていると「本当に紗梛さんって似てるわねぇ」とお義母様が呟いた。


「え……似てる、とは?」


 似てるってどういう……?


華乃宮毘売(はなのみやひめ)様、にね。士貴から少しは聞いているでしょう?」

「はい。生まれ変わりだと聞いております……そんなに似ているんですか?」

「えぇ。とても似ているわ、士貴も結葉龍神(むすびのはりゅうじん)様に似ているし……本当に」


 生まれ変わりということは、士貴様から出会ってすぐに聞いたことだ。

 だけど、情報としてはそれだけで他に詳しいことは知らない。その華乃宮毘売と似ているのかも分からない。 


「……郁世、その話はちゃんとしようと思っていたんだ。紗梛さん、こちらから話を出して申し訳ないが、また明日しっかり話をしたい。いいかな?」


 そうお義父様に言われて聞きたいとは言えず、この日はお開きになった。
 



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