別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「お母さーん」
「誰がお母さんだ」
「あ、間違えた。姉ちゃん、これ」
「何?」
「体操服忘れてた」
「え? 忘れてたって何?」
「出すの忘れてた」
「は? うわっ、何これ。泥だらけじゃん。え、忘れてたっていつから忘れてたの!?」
「わかんない」
「もう信じらんない。放っておいたら汚れ落ちなくなるでしょ? その日のうちに出しなさい!」
「はーい。あとそれ明日持っていきたい」
「はあ? 体操服の替えはないの?」
「学校にあるけど、それも汚れてる」
「もうなんで放置するの。明日それも持って帰ってきなさい! ちゃんとしないとあんたに全部やらせるからね!」
「はい……ごめんなさい」

 謝ってはいるが、その表情を見るとまったく反省している感じがしない。自分でやらないからよくわかっていないのだろう。泥汚れを落とすことなんて普段ないから、瞳も正しいやり方なんてわからない。瞳はもう泣きそうになりながら、ネットで調べ、母に聞いてと慌てて洗濯をしたのだ。


 母は聖に甘すぎなんじゃないかと瞳は思った。これではろくな大人にならない気がする。実際は中学生なんてこんなものなのかもしれないが、それでも聞き分けのよかった小学生の頃の聖を知っているから、瞳にはこの状態の聖を受け入れられなかった。本当に根性から叩き直してやろうかと思った。

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