別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
第六章 二人の愛の巣 Side拓海

1. 聖の想い

 週末を瞳の実家で過ごす日々は変わらず続き、予定の半年まで残り一ヶ月ちょっととなっていた。長かった別居生活も残り少し。瞳が帰ってくるその日を待ち遠しく思いながら過ごしていたそんな折、拓海は瞳からあるお願いをされたのだった。


「拓海。あのね、お母さんから連絡があった。再来週にはこっち帰ってくるって」
「そうなのか。じゃあ、もうおばあちゃんは大丈夫なのか?」
「うん。もう元気に動いてるって」
「そうか。よかったな」
「うん。でも、また同じことがあっても困るし、今後どうしていくかはゆっくり話し合うって」
「確かに、そうだな。まあ、俺たちも協力できることあればしよう」

 瞳のことだから家族のことを放ってはおけないはずだ。また、彼女が無理をしてしまわないようにできることはしてやりたい。

「うん、ありがとう、拓海」
「ああ」
「ねぇ、拓海」
「ん?」
「……実はお願いがあって」
「何?」
「その……」
「何だよ。遠慮するな」
「あの……予定よりお母さんは早く帰ってくるけどさ、私、もう少しこっちいてもいいかな?」

 そのお願いに拓海はなんとも複雑な気持ちになった。もともと予定していた時期までいたいという話なら別にかまわない。でも、もし戻ってくることを渋っているのだとしたら、それは悲しい。拓海は一日でも早く瞳と暮らしたいと思っているのだから。

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