別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~
「……いつまで?」
「聖の受験が終わるまで。別に私がいてもあまり意味はないかもしれないけど、受験までもう少しだしこのままこっちで応援したい」

 それを聞いて拓海は安堵で大きく息を吐きだした。瞳らしい理由に好感が持てる。そんな理由ならばまったく遠慮する必要なんてないのに、瞳は心配そうに拓海の顔色を窺っている。拓海が怪訝な表情を浮かべてしまったからだろう。拓海は胸の内を明かして、瞳の不安を解いてやることにした。

「そういうことか。はあ、よかった。俺んとこに戻ってくるのが嫌だったら悲しいなって思った」
「え!? そんなわけないでしょ? 早く拓海と一緒に暮らしたいよ?」

 そうはっきりと言葉にされると嬉しくて仕方ない。とても嬉しくて拓海の頬は簡単に緩んでしまう。

「そうなんだ」
「うん」
「俺もだよ。早く瞳と一緒に暮らしたい。でも、聖を応援したいって瞳の気持ちはわかるから、いいよ。聖もまた急に環境が変わるよりも、瞳がそのままいたほうがいいと思うし」
「ありがとう! ありがとう、拓海」
「俺も聖の受験終わるまでは、今まで通り週末こっち来るよ。まあ、もう俺の助けはいらないだろうけどな」
「そんなことないと思うよ。聖は拓海がいるとやる気出るみたいだし」
「はは。じゃあ、やっぱりこっち来ないとな」
「うん。ありがとうね、拓海」
「ああ」

 聖の受験が終わるのは、もともと瞳が帰ってくる時期と同じ頃だから、瞳の母が帰ってくる以外は予定と何も変わらない。でも、話を聞く前よりも拓海はずっと嬉しい気持ちでいっぱいだった。瞳も拓海との生活を待ち望んでいるとわかったのだから。
< 92 / 156 >

この作品をシェア

pagetop