芭くん、もっと


「うん。言うね」



ほらね。



芭くんは素直に答えちゃう。



私だけにその言葉を欲しいのに。



「知ってる……よ」



その言葉を言う私と、
芭くんの目が合った。



「俺の目、綺麗?」

「うん。綺麗」



私の心を読み取って、
聞いてくる芭くんはずるい人。



そう、──────出会った日もそうだった。







私が綺麗な目の芭くんを初めて見たのは1週間前。



理科室に忘れものをした時だ。



『やばい!ノート!』



忘れてしまった理科のノートを探すために確認もせず理科室を開けた。



『あー、日村さんやっほ』



黒いカーテン越しのところ。



芭くんがいた。



その目は──────紅かった。




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