女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
6章 定石がなんですの?
○7月7日。
東京都千代田区、HOTELニューオータニ。
大光建設杯清麗戦 本戦第1局。

桜花は桐蔭女子学園の制服姿で対戦の30分前、会場に到着し、対戦相手が現れるのを今か今かと待っている。

初々しい制服姿の桜花に報道や記者のカメラのシャッター音とフラッシュの光がけたたましい。


○対戦開始10分前。

見里加奈が会場に颯爽と現れる。

桜花が会場入りした時の2倍のシャッター音とフラッシュの光。

(見里、26歳。羽織袴で気合いじゅうぶんな感じ。黒髪であごのラインくらいのボブ)

記者1「見里清麗、今日の意気込みは?」

見里「かかってきなさい、でしょうか」

記者2「吉野さんは?」

桜花「今日は胸をお借りして、伸び伸びと指させていただきます」

桜花は内心では食らいついてでも勝ってみせると思いながら、しずしずと1礼する。

見里が桜花の内心を見透かしたように、冷めた目で見下ろし、姿勢を正す。

立会人「開始時間になりましたので、対局を始めます」

駒振りの結果、桜花先手、見里後手。
< 19 / 43 >

この作品をシェア

pagetop