女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
桜花、見里「よろしくお願いします」

桜花は初手に6二銀を指す。

解説室。

桜花の初手に対し、驚きを露にする。

解説1「これは……なんと! 定石を無視した1手です」

解説2「初手にこの1手とは吉野4段、思い切った1手を指しましたね」

解説1「野球に譬えるなら、バットを逆さに持って打席に立ったようなものですよ」


○対局室。

見里が桜花の初手に眉を潜める。

桜花の初手に対し「3二金」と指す。

見里「初手にどう云うつもり? いくら何でも最低限の定石があるわ。血迷ったのかしら?」

桜花、8八歩と指す。

桜花「定石通りに指さなければという決まりはありませんわ」

桜花が言う間に見里は同王と指す。

見里「生意気な口を利くのね」

見里は5八銀不成を指そうとし、その後の展開を計算し始める。

先手が6三銀成、後手6七銀不成、先手同金、後手5九角成、先手4三歩成……
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