女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
まだ、何かできることはあるはず……何か。

考えては指し考えては指しを繰り返す。

桜花の持ち時間は殆ど使われずに残っている。

見里の持ち時間はジワジワと削られていく。


見里は桜花が指すはずの101手目を阻止する1手を考え、足掻いている。

一縷の望みをしきりに探りながら。

桜花「さあ、見里清麗.。どう指して来ますの?」

桜花は見里の苦戦するさまを窺いながら、対局を楽しんでいる。


○解説室。

解説1「見里清麗は苦戦していますね」

解説2「吉野4段は生き生きしていますね。のびのびと指しています」

解説1「このまま進めば吉野4段が……」

第1局は無情にも見里の読み通りに進む。

見里は回避の1手も逆転の1手も見出だせずに投了する。
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