女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
7章 応援する理由
○7月24日、空港ロビー。
大光建設杯清麗戦、第2局会場へ出発前。

翡翠「桜花。第2局だな、大丈夫か」

桜花「棋譜の研究もいたしましたし、AI対局もいたしましたわ。精一杯闘う、勝つことしか考えていませんわ」

翡翠「そうだったな。桜花の将棋はいつも勝つことを最優先の将棋だな」

翡翠、当時を思い出しながら。

(桜花が5歳の病室。
ベッドサイド机に将棋盤を置き、将棋のルールを教えている翡翠と目を輝かせ教えを乞う桜花)

桜花「翡翠さんに教えていただいたんですのよ。『一緒に指さないか』と、わたくし5才でしたわ」

翡翠「そうだったな。あの頃、俺は奨励会の3段リーグで行き詰まっていた。高校受験と将棋、父にも理解されなくて」

翡翠は懐かしそうに話す。

桜花「そんなふうには見えませんでしたわ」

翡翠「君は5才で、指すたび強くなって、それが楽しみだった。君と将棋を指す時間が3段リーグより大事になって」
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