女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
「本戦は這ってでも対局すると、声まで荒らげて言う。全く尋常ではない」
「……桜花さんが」
翡翠は桜花らしいなと思う。
「先日の新薬臨床データは察していると思うが、桜花のものだ」
「やはり……そうでしたか」
翡翠には臨床データを見たときから、解っていた。
「元気そうにはしているが、それも服薬して制御できているからだ。君の会社の製品には助けられている。どうにか普通に過ごせている」
「桜花さんのお体のことは、私も常に気がけているつもりです」
「解ってくれているならいい。だが、如月社長は娘との婚約を快く思われていないのだろう?」
翡翠の顔がにわかに曇った。
「実は桜花さんでは跡取りを設けることができるかどうか定かではないと……年の差もありますし、お見合いを薦められていまして」
「っ! やはりな。で、君はどう思う?」
吉野の声は険しい。
「……桜花さんが」
翡翠は桜花らしいなと思う。
「先日の新薬臨床データは察していると思うが、桜花のものだ」
「やはり……そうでしたか」
翡翠には臨床データを見たときから、解っていた。
「元気そうにはしているが、それも服薬して制御できているからだ。君の会社の製品には助けられている。どうにか普通に過ごせている」
「桜花さんのお体のことは、私も常に気がけているつもりです」
「解ってくれているならいい。だが、如月社長は娘との婚約を快く思われていないのだろう?」
翡翠の顔がにわかに曇った。
「実は桜花さんでは跡取りを設けることができるかどうか定かではないと……年の差もありますし、お見合いを薦められていまして」
「っ! やはりな。で、君はどう思う?」
吉野の声は険しい。