女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
9章 父と息子の賭け
○7月26日、空港に迎えに来た翡翠と車中で。

翡翠「いよいよ第3局。次は清麗戦に王手だな」

桜花「ええ、翡翠さんにいただいた八幡さまのお守りのおかげですわ」

翡翠「桜花、ありがとう。綺麗だった」

桜花「次も油断はできませんわ。見里清麗は形振り構わず向かってきますわ」

桜花は薄く頬を紅くし、次の対局に話を変える。

翡翠「そうだな。気を引き締めて、体調も整えなければな」


○如月邸、書斎。

翡翠と翡翠の父銀之丞が向かい合っている。

銀之丞「吉野の娘は清麗戦2勝したそうだな」

翡翠「はい。次は恐らく苦戦するかと」

銀之丞「正念場だな。翡翠、あの娘と本気で婚約を考えているのか」

翡翠「はい。彼女以外には考えておりません」

銀之丞「……予選では対局後に1度、倒れたそうではないか。吉野氏は元気になったと言っていたが、とうやらそうではないようだ」

翡翠「それは……」
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