幽霊の依子さんは 今日も旦那様を愛す
俺、大路修平と依子が出会ったのは高校2年の時だった。

大路と木崎。
名字を理由に学級委員に推薦された。

それまでの依子の印象は『おとなしい』の1択だった。

学級委員の仕事を通して次第に話すようになった依子は人見知りなだけで、実は笑い上戸で、おしゃべりなかわいい女の子だと知った。

そして、次第に女の子として意識するようになっていった2年の終わりの頃。

俺から告白して付き合うことになった。



まさか、結婚までするとは思ってもみなかった。けれど、結婚したいと思う程好きになった人は依子だけだった。


依子が生きていてくれたら。
それだけで俺は幸せだった。





・・・姫川弥生・・・。
なくなった依子と同じ28歳。

笑い上戸でおしゃべり。人見知りではないけれど、真面目なところも好感がもてる。


俺は彼女を女性として意識し始めている。



依子を裏切るこの感情。

ごめんな。依子。



「依子」


「依子、逢いたいよ。依子」


俺は久しぶりに泣いた。




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