幽霊の依子さんは 今日も旦那様を愛す
  ※※※

私、大路依子は私の遺影に手を合わす彼女を真正面から見つめた。

彼女が『姫川さん』ね。

姫川さんのおかげで最近の修平は楽しそう。
少し・・・強がってしまった・・・おもいっきり寂しいけど、安心もした。

ちゃんと今を生きる準備ができたってことだろう。
うん。

「綺麗な人」
姫川さんが呟いた。
あら、ありがとう。姫川さんもかわいいわよ。
ご丁寧な挨拶までいただいて。

姫川さんがお水を代えてくれた。

ありがとう、おいしいわ。




姫川さんは
「失礼しまーす」
と小声で言うと、キッチンへ入った。

綺麗に並べられたスパイスの品揃えをみて、
「わ、料理男子だったんだー」
と驚いた。

「うーん。私、このキッチン触っちゃダメなんじゃないかな?」さ
腕を組んで悩んでるところ申し訳ないけれど、全然触っても気にしないと思うわよ。
それに、料理はカレー以外は適当よ。

修平のカレー、美味しいのよねぇ。
スパイスから作るカレー。


なんて思ってたら、姫川さんが自分の鞄を手に取った。

え?嘘?なんで?
帰るの?


小走りで玄関を出て行った。


これは・・・どういうこと?
熱でぐったりしている修平の世話は終わりなの?

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