忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 バイト先。

 入口が開いた。

 亜美は反射的に顔を上げた。

「お疲れさまです」

 入ってきたのは、別の講師だった。

「……お疲れさまです」

 小さく頭を下げる。

 違った。

 授業の準備へ戻る。

 しばらくして。

 また入口が開いた。

 顔を上げる。

 違う。

「…………」

 今日は。

 来ないのかな。

 そんな約束はしていない。

 返事だってない。

 それでも。

 入口が開くたび。

 亜美は顔を上げた。

 違う。

 また。

 違う。

「…………」

 時計を見る。

 まだ。

 こんな時間。

 いつもと同じはずなのに。

 今日は。

 時間が進むのが遅かった。

 丈が来ない。

 それだけで。

 いつものバイト先まで。

 違う場所みたいだった。
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