忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 大学の廊下。

 亜美は足を止めた。

「…………」

 向こうに。

 見覚えのある背中があった。

 丈。

「先生……」

 胸が跳ねる。

 足が動いた。

「先生」

 届かない。

 少し速く歩く。

「先生……!」

 丈が角を曲がった。

 亜美も追いかける。

 角を曲がる。

「…………」

 いない。

 右を見る。

 左を見る。

 人が行き交う廊下。

 丈はいなかった。

「…………」

 亜美はその場に立ち尽くした。

 いた。

 さっきまで。

 そこにいた。

 やっと。

 会えると思った。

 スマートフォンを取り出す。

『今、大学にいますか』

 送る。

 もう一度。

 辺りを見る。

 いない。

 胸の奥が。

 急に。

 空っぽになったような気がした。

 しばらく。

 その場を離れられなかった。
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