忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 駅が近づいた。

 もうすぐ別れる。

 そう気づくと、亜美の足が少し遅くなった。

 もう?

 もう帰るの?

「亜美?」

 丈が振り返る。

「どうした?」

 亜美は立ち止まった。

「まだ何かある?」

 首を横に振る。

「ないです」

「じゃあ、帰る?」

「…………」

 嫌だ。

 その言葉だけが、すぐに浮かんだ。

 せっかく会えたのに。

 もう少し。

「……もう少し」

「ん?」

「もう少し、一緒にいてもいいですか」

 丈は亜美を見た。

「亜美がそうしたいなら」

「……はい」

 丈が駅とは違う方へ歩き出す。

 亜美もその隣へ並んだ。
< 376 / 426 >

この作品をシェア

pagetop