忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
「でも……」

 亜美は思わず口を開いた。

「幸也さんのこと、好きです」

「うん」

「本当に」

「分かってる」

「今も好きです」

「分かってるって」

 幸也の声が強くなった。

 亜美が息を止める。

「分かってるよ」

 幸也は目を伏せた。

「亜美ちゃんが俺のこと好きなのは」

「…………」

「疑ってない」

 涙がまた溢れた。

「だったら……」

「無理なんだよ」

「…………」

「俺も好きだから」

 亜美の目が揺れる。

「好きだから無理なんだよ」

「幸也さん……」

「俺のこと好きって言ってくれるのに」

 幸也は唇を噛んだ。

「それでも丈とは会うんだろ」

「…………」

「俺、それ分かってて今まで通り付き合えない」

「…………」

「そんな器用じゃない」

 幸也の目も赤くなっていた。

「ごめん」

 その一言に、亜美の胸が締めつけられた。

「……嫌です」

「…………」

「別れたくないです」

 幸也の表情が歪む。

「俺だって」

 小さな声だった。

「別れたくないよ」

 亜美が顔を上げる。

「好きなんだから」

「じゃあ……」

「でも」

 幸也が遮った。

「亜美ちゃん」

「…………」

「丈ともう会わない?」

 また、同じ問い。

 これが最後だと分かった。

 幸也と別れたくない。

 そのためには、もう会わないと言えばいい。

「…………」

 それでも。

 言えなかった。

「……ごめんなさい」

 幸也はゆっくり目を閉じた。

「そっか」
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