交際0日 言葉にしない愛を見かけた街角
トーコは昔から、かなり飄々としていて、

「何故だか無性に、ういろうとえびせんが欲しくて仕方なくなったから」

そんな理由だけで、いきなり名古屋までフラッと高速バスで行って、大量のういろうとえびせんを買ってくるような、エキセントリックな人。

「お取り寄せしたらいいのに…」

そう言ったら、

「えっ、そんなことできるの?」

本気で驚いていた。

群れない、媚びない性格ゆえに、友達も少なく、ネットやマスコミを嫌い、必要最低限の情報しか取り入れない主義なので、世間のこともあまり知らないトーコ。

そんな調子でも、全く問題なく生きていられるのは、彼女が伝統工芸の職人だからなのかもしれない。

典型的な日本人タイプの僕には、全く流されないトーコが眩しく見え、最初は尊敬や友情だったのに、いつしか引き返せないほど惚れてしまった。
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