龍は千年、桜の花を待ちわびる

終章

私は桜が舞い散る道を歩いていた。


あれから約1ヶ月。

私が異世界へ行っていた間のことは捜索願一歩手前だったものの、怒られたことと、しばらくの門限厳守で済んだ。


「今年も綺麗に咲いたなぁ…。」


そんな風に桜を見上げながら歩いていると、待ち合わせ相手を見つけた。


「お待たせ。」
「おう。」


私の両耳には、桜色の水晶が付いたピアスが光っている。


不意に強い風が吹いて、見事な桜吹雪が舞った。

その瞬間、私の両脇に手を差し込むと、そのまま私を持ち上げた。


「きゃっ…!?」


そして彼……皇憐はゆっくりとその場で回った。


「桜の精みたいだ。」
「何それ…!」


私は笑顔で皇憐に抱き付くと、皇憐は私を抱き留めた。

互いに見つめ合って、笑い合った。




もう、2度と会えない人と思っていた人。

私の、愛する人。



- 完
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