佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「いやか?なら、しおり」

「ちゃんは、どうしたの?忘れてるわよ」

「いやだ。しおり…しおり、好きだ、大好きだ」

子供みたいにギュッ、ギュッと抱きしめる東雲を可愛いと思う。

「お前呼びするより、いいわ」

「マジ⁈一歩前進だな」

驚きで顔面全体で喜ぶ東雲。

「単純」

クスリと笑うしおりの頭を撫でる東雲の手。

「お前も前向きにいけよ。確かめてもいないことを勘ぐって悩むな。悩むぐらいならぶつかってみろ。それで振られたら、俺んとこ、おいで」

優しい声を1オクターブ甘い声に落として『おいで』と言う東雲に、どんな女も心はキュンと震える。

しおりも例外ではない。

「…私が振られる前提で言わないでよ。でも、励ましてくれたのは、わかった。ありがとう」

「俺としては、目の前にチャンスが転がってる間に、心の隙間に入り込みたい魂胆」

茶化す東雲に、悲しさで溢れていたしおりの心は軽くなっていた。

「ほんと、馬鹿正直にそんなこという人、あなたぐらいよ」

「仕方ないだろ。俺だって、こんな気持ち初めてで、加減なんてわかんないんだ」

東雲が苦しそうにする表情から、真剣な気持ちが伝わって、誤魔化すことができず黙ってしまった。
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