澄ましたメイドのご主人様。
「ところで,茉俐様普段は何を食べてるんですか?」

「パーティで出てくるものとか,雇われのシェフの料理とか,たまに出張して貰ったりとか。外食することもあるね」



なるほど,これは……

簡単だからとパスタでもゆでようものなら,大変なことになる。

鮮度などの大事な魚も,焼き魚ですらお気に召さない可能性があるし……



『……緊張しなくていい。調理といっても,普通の卵焼きレベルのものでいいのだから』



旦那様の言葉を思い出した。

そうか,なら……



「卵焼きと,味噌汁……それから…………餃子?」



誰が作っても変わらない,またはそこそこに美味しいものってなんだろう。

そう考えた結果だった。

肉も魚も揚げ物も,きっと差が出てしまう。

かと言って惣菜を買ってしまえば,結局何も解決されないだろう。



「直ぐには冷えないので,今日のお茶は私の家のもので良いですよね」

「うん,ごめんなさいって言っておいて」



私はお茶のためのボトルを,茉俐様に渡した。

そう言えば,ボトルで保存なんて……しないのかな?

後で家の人に聞いてみようと,私は足の向きを変えた。
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