いつか永遠の眠りにつく日まで
首を傾げる孫の頭を撫で、女性は空を見上げた。



「幸せだったろうと、思うよ。」



最期にやっと思いを伝え合えたらしい2人は、共に死んでいった。



「そっかぁ…、なんだか難しいなぁ。」

「まだ難しいねぇ。でもね、それでいいのよ。今はまだ。」

「…うん。」



女性は孫に微笑んだ。


あれから数十年、ルチェルナの一部となったデネブリスはすっかり栄えた。

戦争時にゴルディス山脈に開いたトンネルのおかげで、物流が盛んになったのだ。


そして、数十年前に王座に就かれた新国王の治政は見事なものだった。


今、この大陸全土は平和だ。



もう国に阻まれてあんな切ない恋人が生まれないようにという、新国王の願いにも思える。



「あのね、あのね!」

「うん?」

「難しいけどね、リーリア姫とレオ王、今はきっと、幸せだよね!?」



そう問う孫の頭を再び撫でると、女性は孫の目線に合わせて屈んだ。



「そうね。間違いなく幸せよ。」



寧ろ、今の方が幸せに違いない。

なぜなら、2人を別つものはもう、何もないのだから。



「空にお願いしようか。2人が、これからも幸せでありますように、って。」

「うん!」



2人は空に祈りを捧げた。


この本を読んで、2人に祈りを捧げる者は少なくなかった。


ルチェルナの姫という身分を最期まで貫いたリーリアと、デネブリスのため最期まで王として戦い抜いたレオ、2人に敬意を称して。





-fin.
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