ふたりの道が重なるまで
考えたくは無かったが、やっぱりあの人の顔が脳裏に浮かぶ。
全然知らない相手で、ましてや昨日は初対面だった。
何故あの人が気になるの?
再びスマホに指をすべらす。
と思ったものの、検索のワードが見つからない。
ダメ元で自分の気持ちを検索ワードにしてみると、該当の記事らしきものが沢山ヒットした。
1番上の記事をタップしてみて文字の羅列を目で追いかける。
途端に私は自分のスマホを床に落とす。
そんなわけない。この記事を書いた人は脳内お花畑なの?
地面で拾われるのを待っているスマホの画面には『好き』という2文字が映し出されていた。
私があの人のことを好き?
初対面で言葉も一言二言しか交わしてないのに?
バカバカしい。
仮に私があの人のことを好きだったとしても、それがなんだと言うの?
あの人は桜子の婚約者。
私のことを『友達』と認識する桜子の婚約者。
類は友を呼ぶ。
桜子は私の友達ではない。
むしろ『敵』に近しい存在。
私の人生の中で1番不要な人間。
その人間の『婚約者』。
好きになるはずがない。