だって、しょうがない
◇ ◇
「思っていたよりも、ずっと小さい……」

 コンビニで、受け取った荷物を自宅で開けた愛理は、見守りカメラが想像以上の小ささに驚いた。
 そのマグカップに入りそうなサイズのカメラを、淳に見つからないように、どうやって設置しようかと、リビングを見回す。すると、バンブーで編み込まれたフロアスタンドが目についた。

「ここなら、電源も取れるし、ちょうど隠れる」

 念のために見守りカメラのボディーに両面テープを張り、その上に麻紐を巻き付け所々ボンドで止める。すると、外見からは何かの小物にしか見えず、カメラとはわからない仕上がり。それをフロアスタンドのバンブーの中に入れ、バンブーの隙間からカメラのレンズが覗くように設置した。

 試しにスマホと同期させ、起動してみると、電気の点いた明るい部屋の様子も自分の姿もはっきり映っていた。部屋の中を歩きまわっても自動追尾で映像が追いかけて来る。そして、電気を消してみると、暗視カメラ機能が働き、モノクロの映像ではあるが、しっかりと識別できた。

「すごい!思っていた以上に高性能」

 そして、寝室にもう一つのカメラを持ち込んだ。けれど、今度は設置場所に悩む。
 シングルベッド2台と間にチェストを置いただけのシンプルな部屋。その他には作り付けのクローゼットがあるだけだ。
 いくら小さくてもチェストに設置をしたら、気が付かれてしまう。
腕を前で組み暫し考えてから、クローゼットを開いた。その袋棚にある段ボールを取り出す。
段ボールを開けると、以前使っていたフェイクグリーンが入っている。ビニール袋の中からまとめられた蔦のアイビーを模したフェイクグリーンを取り出し、カーテンBOXの上に飾る。その中に見守りカメラを忍ばせ、窓の淵に沿わせるようにコードを這わせた。もちろん、コードは目立たないように、白いコードプロテクターで覆う。

「よし、完璧。これで、私の出張中に浮気相手を連れ込んだら、バッチリ証拠を押さえてやるんだから」
 
 
 
< 46 / 221 >

この作品をシェア

pagetop