携帯電話、彼との距離
『おいおい、転校生さんよぉー!上等なご挨拶じゃねぇか、おぉい⁈』
『やっちまってくださいよ、竜王さぁん!あんなかわいい女の子をコケにするような女ですよ?!』

ーーー…こんなに国立シエル学園って馬と鹿が多かったんだ。

『あなたたち、私の自己紹介のどこが気に食わなかったって言うの?』

(にら)みつけながらそう問いかけると、私の前に立っている金髪と赤髪は歯をギリギリと鳴らした。
へー、人間の歯って噛みすぎるとそんな音がするんだぁ…あぁ、分解してみたいなぁ…。
まぁ、今回の目的は分解じゃないからね。

『聞いてることにもこたえられないのかしら?』
『はぁ?!』
『お前のあの、人を馬鹿にするような態度だよ!なんだよあれ!』
『そうっすよ!やっぱ転入生は転入生らしく、もうちょい慎ましくあるべきだろ!』

机を蹴られ、がたんと大きな音がたつ。海のほうにいた人たちが、一斉にこちらを向いた。
といっても、海の席は窓側、対して私の席は廊下側だ。
若干距離があることもあり、多くの人はこちらにはこなかった。
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