携帯電話、彼との距離
『……礼儀を知らない人も、この世にはいるものね……』

もっていた本を閉じながら、私は言う。
ちなみに今読んでいた本は、坂口安吾の「堕落論」だ。大好き。

『礼儀知らずはどっちだよ!』
割とまともな突っ込みね。

『テメーなんぞ……!』
金髪がなんか言っていたので、先ほど蹴られた机を蹴り返した。
『カハッ……!』
この机は立っている人間の腰ほどの高さだったので、金髪は悶絶している。

『てめっ…!』
と、すぐに赤髪が殴りかかってきた。

かわすと同時に、私は彼を突き飛ばす。
刹那、金髪の自暴自棄な蹴りが飛んでくる。もう復活したのか。
私は彼の背後に回ると、条件反射で相手の首に右腕をかける。左腕も使って頭をホールド。

『お前、何を……』
呼吸を妨げるものではないため、ジタバタしていたが、すぐに彼はおとなしくなった。
腕を下げる。

ーーーーーードサッ。
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