【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
☆1
季節は夏。
窓から入ってくる風もあまり涼しくはない、そんな季節。
顔にまとわりつくような不快な汗を拭うように、
私は、ショートボブの髪を耳にかけ、カバンを持って立ち上がった。
「え、菜摘さん、今日ももう帰るんですか?」
静かに教室を出るつもりだったのに、クラスメイトに見つかって、私は少し振り返る。
「あー…うん、用事あって!」
一瞬言葉に悩んだのを見逃さなかった1つ年下のクラスメイトは、にやりと笑った。
「あー、分かった!噂の彼氏さんですか!
いっつも迎えに来てるって!」
「もー、そんなんじゃないから!」
親しげにつついてくる女の子の頭を私はぽんっと叩く。
「部活遅刻しても知らないよ〜?」
「あっやばい!ありがとう菜摘さん!またね!」
あっと言う間に私を追い抜いて階段を駆け下りていく数人の女の子たちに、私はふぅと小さく息をついた。
「もう、元気だなあ」
人懐っこくて可愛い年下のクラスメイトの後ろ姿を見て小さく笑う。
私、立花菜摘は、高校3年生の夏を迎えていた。
窓から入ってくる風もあまり涼しくはない、そんな季節。
顔にまとわりつくような不快な汗を拭うように、
私は、ショートボブの髪を耳にかけ、カバンを持って立ち上がった。
「え、菜摘さん、今日ももう帰るんですか?」
静かに教室を出るつもりだったのに、クラスメイトに見つかって、私は少し振り返る。
「あー…うん、用事あって!」
一瞬言葉に悩んだのを見逃さなかった1つ年下のクラスメイトは、にやりと笑った。
「あー、分かった!噂の彼氏さんですか!
いっつも迎えに来てるって!」
「もー、そんなんじゃないから!」
親しげにつついてくる女の子の頭を私はぽんっと叩く。
「部活遅刻しても知らないよ〜?」
「あっやばい!ありがとう菜摘さん!またね!」
あっと言う間に私を追い抜いて階段を駆け下りていく数人の女の子たちに、私はふぅと小さく息をついた。
「もう、元気だなあ」
人懐っこくて可愛い年下のクラスメイトの後ろ姿を見て小さく笑う。
私、立花菜摘は、高校3年生の夏を迎えていた。