【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
手術直後、4人のことは覚えていて安心したものの、やっぱり思い出の所々には、消えてしまったこともたくさんあって。

最初は、分からない話がでると、申し訳なくて悲しくて、毎回泣いてしまう程悔しい思いをしていた。

だけど、その度に、面白おかしく説明してくれる4人に、次第に悲しい感情は消えていった。

私が覚えていなくても、みんなが覚えてくれていたらそれでいい。

それを教えてもらったら簡単に想像できてしまう過去の思い出は、とても可笑しくて。

楽しい気持ちにさせてくれる4人の話は、記憶がかけてしまった私の、精神的な辛さを救ってくれていた。


「で、じゃんけんで負けて大泣きした晴樹に、私達がひとかけらずつ揚げパンを分けたのね。」

「そしたら晴くん、何て言ったと思う?」

「え?お礼じゃないの?お礼言うべきだよ」

「だよね、菜摘もそのときそう言って爆笑してたんだけど」

「ああ、晴樹、お礼言わなかったよな。なんて言ったんだっけ?」

「こんな餌みたいなの嬉しくねえー!!」

「あはははは、本当に!?やば!あり得ないんだけど!」


当時を思い出すように、苦しいくらいに笑って、私たちはお祭りを楽しむ。

かき氷を食べ終わったら、それ以外の露店を練り歩いて、たくさんの食べ物を買いまわった。
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