【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「家族じゃね?小さい頃、旅先で花火したことあるぞ、星綺麗だった。」

「あ、じゃあそれかなー?」


妙な雰囲気を察した隼人くんが助け舟を出し、菜摘は満足そうにまた別の花火に火をつけた。



「綾羽」


盛り上がる空気の中、そっと後ろから手を掴まれ、私は振り返る。

視線の先には、眉を下げ、小さく頷く恭弥がいた。

その、複雑そうな、たくさんの感情を飲み込んだような彼の表情を見た途端、
じわっと目頭が熱くなり、我慢していたのが嘘みたいに表情が崩れる。

掴まれた手に力が入り、その手を引かれるがまま、私は恭弥と、その場から離れた。
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