【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。

★3

夏の夕暮れ時。

夕日が沈みかけ、涼しくなってきただろうと病室の窓を開けると、

思ったよりもずっと暑い、むっとした空気が肌に触れた。


「お兄ちゃん、花火!」

「鈴。どうしたのこんな時間に」


いつもは真昼にしか会うことのない鈴が病室を訪れ、僕は驚いていた。


「花火!」


無邪気に同じ言葉を繰り返す彼女に、首を傾げる。

すると、後ろから笑顔の菜摘も顔を出した。


「花火、葉瑠姉が買ってきてくれたの。屋上で一緒にやってくれるって。行かない?」


可愛らしく微笑む彼女に、僕もついつい笑顔になる。


「いいね、行こう」

「やったー!早く行こ!葉瑠ちゃん待ってる!」


そう言って、僕の手を掴み足早に進んでいく鈴に、僕は半ば引きずられるように屋上へと出た。
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