【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「シュンくん……っ、さみし、うう……」

言葉にもならない悲しみを露わにする私に、シュンくんは呆れたように笑って、頭を撫でた。

「あはは、大丈夫だよ。これからも会えるから」

「だって、学校…っ、違う、しぃ……」

呼吸もままならないまま、泣きじゃくる私をシュンくんはそっと抱きしめる。

「大丈夫。俺が会いに行くし」

大人びていて、自然な振る舞いに、周りからは黄色い歓声が響いた。

近くで見守っていた、綾羽と紗南も、目を輝かせる。

すぐに離れたシュンくんの腕に、私は驚いて涙が止まっていた。


そして、その時からだったと思う。

それまで、ただのお兄ちゃんの友達で凄く凄く優しい人
…だったシュンくんを意識し始めたのは。


急にドキドキして、知らない人みたいに感じた。

微笑まれた笑顔に、うるさいくらいに心臓が鳴り響いて上手く笑えない自分がいた。


な、なにこれ…苦しい…。

シュンくんが輝いてみえる…。


そんな疑問が浮かぶけど、恋をしたことがない私には、この感情の正解は分かりようがなかった。
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