血の味のする恋を知る



しばらくは魔人の捜索に人手を割かれるようになった。けれどその足取りは全く掴むことができず、半年もすれば規模も縮小されて人知れず魔人は死んだのではないかと言われるようになった。


以前にも魔人が落ちてきた例はあり、その時は大規模な虐殺などで村がいくつもなくなった。その分どこにいるのか把握しやすく、最終的に大きな犠牲を出しながらも討伐できたらしい。


しかし今回はそういう事例はなく、本当に魔人だったのかなど疑問視する声も聞かれている。






「………北の森の魔物討伐に出てたやつらだが、死傷者が出たらしいな」


「あぁ、まぁ死んだのは若い奴らばかりだ。戦力にはあまり影響はないだろう」


「だがこの間の討伐でも死人やら怪我やらが多かったからな。最近弛んでるんじゃないか?」



怪我などがないかと医療室で身体を見てもらってから自分に割り当てられている部屋に向かう途中、そんな会話が耳に入ってきた。


……確かに、微々たるものではあるが以前よりもこちらの被害が増えている気がする。誤差じゃないかと言われてしまえばその通りかもしれないけれど。


訓練の内容も、魔物の強さも変わっていないはずなのにこちらにだけ被害が出ているのは少し不思議だ。


まぁ考えたところでわたしには関係ないか。




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