血の味のする恋を知る



その後もほんの少しずつではあるが死者が出て、普段行われる訓練も苛烈なものになっていった。これだけ厳しい訓練が課されていればいざという時の討伐に支障がでてもおかしくないだろうに。


魔のものが、いつこちらに落ちてくるかなんて誰も知らないし予想できるものではない。だからこそ部隊はいつ何時でも対応できるようにしなければならない。


戦力が少しずつ減ってきているからか、上の人間は焦ってきているのだろう。だからと言ってがむしゃらにすればいいと言う問題でもないのに、お前たちは化け物だからと言い、どうしようもない苛立ちやストレスなどを浴びせられ消費される日々。


わたし以外でも多くの隊員が生傷が絶えないようになっていった。わたし達は一般の人と比べれば回復は早いし、傷も個人差はあるといえすぐに癒える。しかしこう毎日怪我を負えば回復も追いつかなくなる。


体が疲弊すれば精神も同じく削られていき、心の安定を損なう人も増えている。ギリギリを保っていた人達が何人も壊れる姿を目にした。


さすがにこれ以上の訓練は逆に戦力の低下に繋がると上のまともな人間も思ったのだろう、少しではあるが休暇を取るようにと命令された。正直な話、わたしにはありがた迷惑だったが他の人は心なしか安堵したように息をついていた。





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