【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「……子? 結衣子?」

 はっ、まだ診察室だった。考えに耽っている場合じゃない。

「あ、ごめん。ごめん。じゃあ、鉄平帰ろうか。ありがとうございました」

 すっかりパパに抱っこされていた鉄平を受け取ろうとする。

「下まで送るよ」
「え? でも、診察は?」
「今日はこれで終わり。鉄平を最後にしてたから」
「私もお見送りに行きます!」
「やめてくれ。邪魔だ」

 えぇ! そんなこと言っていいの?

「もうっ! 本当に先生はつれないんだから〜!」

 あ、可愛いなぁ。やっぱりちょっとモヤモヤする。
 その時だった。看護師さんがやってきた。

「藤田先生、内線入ってます。1番、病棟からです」

 どうやら、病棟からの呼び出しのようだ。

「見送りはいいよ。早く病棟に戻って」
「チッ、せっかくお前たちが来てるのに」

 いやいや、家に帰ったら普通に会えるじゃない。今、仕事中でしょう?

「私がお送りします! 藤田先生は病棟に戻ってください」

 え。それも申し訳ないんだけど……。
 
「稲森は自分の仕事に戻れ! いつまでも外来でフラフラしてんじゃねーよ」
「すぐ戻りますよ〜!」

 なんか押し切られてしまって、そのまま会計へ。
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