【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「今日、稲森さんは?」

 稲森も大河くんの担当の1人だからな。

「あいつ、やたらと纏わりついてうっとーしいんだよ。ムダに外来にいてると思ったら、結衣子と鉄平に纏わりついて。多分今頃、会計に付き添ってるはずだ。意味がわからん」
「……お前それ、大丈夫か?」
「は? なにが?」
「いや……お前と稲森さんって、ヤバい関係じゃないんだよな?」
「は? ありえねぇ! 俺は結衣子ひと筋だ。あんな女興味ない」
「あー、まーわかってるけど……。あっちはそう思ってないだろ? だとしたら、余計なこと結衣子ちゃんに吹き込んでる可能性はあるぞ」

 ガタン!
 俺は思わず立ち上がった。

「ちょっと、行ってくる!」
「いや、待て。落ち着け」

 そんなこと言われて落ち着いていられるか!

「もう帰り道だろ? ベビーカーか? 電話かけたとしても、歩きスマホしながらベビーカー押すのは危ない。今行くのも電話もやめとけ」

 ……確かに。あまりにもまともなことを言われたので納得した。

「……でも、お前、本当に何もないのか?」
「あるわけない。俺が結衣子しかダメなの知ってるだろ?」

 あの王様ゲームの後、めちゃくちゃムカついたが、結衣子がどうしてもとお願いするので仲直りした。
 そこで俺のトラウマと潔癖性のことを話した。コイツは謝ってくれた。だから今も友達付き合いを続けている。他の女に行くわけがないことも知っている。
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