【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「まあな。未だにラブラブだもんな。お前んとこ。家帰ったら会えるのに、そんなに会いたいもんなのか?」

 俺には理解出来ないね、と廣澤が言う。

「ずっと一緒にいたいから結婚するんだ。当たり前のことだろ? 俺にはフラフラし続けるお前の方が理解出来ん」

 なぜか、苦笑いしてやがる。

「まぁ……そうだな。
 ……なぁ。稲森さんって彼氏いるのか?」
「は? そんなこと、俺が知るわけない」
「だったら、紹介してくれよ」
「……は? お前ら、もう知り合いじゃないか。何を言ってる?」

 意味がわからない。

「さすがに、他科の女医さんだろ?」

 いや待て。コイツの素行は同期で知らない奴はいない。
 来るもの拒まず。去るもの追わず。
 学生の時から、OLやらナースやらかなり年上の女医やら……食い散らかしてきた。たしか女医は人妻だったような……。そんな猛者なら、あんな女朝飯前じゃないか?

「なんで、俺に言うんだ?」
「まず一つ、お前が実質的に指導してるから。二つ目は、念のため、お前との仲を確認しておきたかったから。
 で、三つ目は……今までと違う付き合いを考えているから、だ」

 今までと違う付き合い? なんだ? 結婚相手ってことか⁉︎
 まさかな。コイツまだそんなこと考えていないだろ。
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